婦人科系疾患による下腹部痛への鍼灸治療
女性の婦人科系疾患は、様々あります。
昨今では、30代後半から40代女性の結婚、出産もめずらしくありません。
そうした時代の流れとともに、出産年齢の高齢化による体内への負担や仕事のストレスによる身体への負担、影響、生活習慣などで、婦人科系の疾患に悩まされる女性が増えています。
もちろん、生理痛も婦人科系疾患の一つです。
もくじ
下腹部痛を起こしやすい婦人科系疾患
婦人科系疾患には色々あります。
・子宮内膜症
・子宮筋腫
・月経困難症
・月経前症候群(PMS)
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
・卵巣嚢腫
・子宮頸がん、子宮体がん
・卵巣がん
・更年期障害
下腹部に症状が出やすいものでまとめましたが、この他にもまだまだあります。
早期発見であれば、薬や簡単な手術で治る場合もありますが、仕事や家庭の事情で定期健診を受けられなかったために病気の出現や症状の悪化が進行する場合もあります。
婦人科系疾患の下腹部痛の主な原因
女性に限って言うと、下腹部には腸や膀胱だけでなく、卵巣、卵管、子宮など女性特有の臓器があります。
卵巣や子宮に疾患を持っていると限局的に痛みなどが出る場合もありますが、生理前におなかが張ったり痛くなったり、排卵の時におなかが痛くなったり、臓器自体に病巣がない場合でも女性ホルモンの影響で痛みが出る場合もあります。
更年期障害の場合にも、下腹部の婦人科系疾患がない場合でもホルモンバランスの乱れからおなかが痛くなったりする事があります。
また、痛み方も様々で、鈍痛や刺すような痛み、弱い痛みだが1日中続く痛みなど、個人個人で感じ方も痛み方も違います。
東洋医学の「瘀血」と下腹部痛
東洋医学において、「瘀血おけつ」とは血液の流れが滞った状態を意味します。
普段はスムーズに流れている血液が、冷えなど、何らかの原因によって流れが悪くなった場合、瘀血を起こしている可能性があるという訳です。
婦人科系疾患をお持ちの方は、この「瘀血おけつ」が痛みを生じる原因の一つであることが多いです。
下腹部には、長く大きな血管がたくさんあります。
瘀血が生じることで、下腹部にある血管の血流が悪くなり、血液が行き届かない部分が発生します。そうすると、血液が行き届かないところが虚血状態となり、脳がここに炎症が起こっていると判断して痛みが発生します。
下腹部の圧痛(指で押さえて痛いところ)が多く出現する箇所は、主に5ヶ所あります。
特に、左下腹部は大きく長い血管が集まっているので、瘀血が起こりやすく痛くなる人が多いようです。
下腹部痛への鍼灸治療
婦人科系疾患をお持ちの方で、薬や手術で治る方もいらっしゃると思いますが、手術をしたくない方や経過観察により手術まで至れない方もいらっしゃいます。
そうした場合に、下腹部痛が出て辛いことがあります。
当院では、そういった婦人科系疾患のお悩みにも対応しています。
もちろん、症状やお身体の状態を診て、おなかだけでなく背中や手足にも鍼灸治療をします。
下腹部痛に効くおなかのツボ
おへその10cm位下に「関元かんげん」というツボがあります。
一般的に「丹田たんでん」と言われる場所です。
ここは、婦人科系や不妊の鍼灸治療でよく用いられるツボで、鍼をするのはもちろんですが、お灸で温めることもよくあります。女性の子宮がある場所なので下腹部痛が強い場合、ここを温めてあげると痛みが和らぐことが多いです。
まとめ
時代の流れとともに、出産年齢の高齢化や仕事のストレスによる身体への影響、生活習慣などで、婦人科系の疾患に悩まされる女性が増えています。
下腹部に痛みが出やすい婦人科系疾患は数多く存在します。
生理痛も婦人科系疾患の一つです。
下腹部の痛みの原因の一つに、東洋医学の観点から「瘀血おけつ」が考えられます。
瘀血が生じることで、血流が悪くなり、血液が行き届かない部分が発生します。そうすると、その部分が虚血状態となり、炎症が起こっていると判断して痛みが発生します。
それらの痛みを緩和、解消するために鍼灸治療を施します。もちろん、下腹部のみならず、症状や患者さんの状態をみて背中や手足にも鍼灸をする場合もあります。
症状によっては、ご自宅でのお灸を指導させていただくこともあります。
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この記事を書いた人
鍼灸師 大平洋子 (おおひら ようこ)
中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患などを主に担当している。
健康になりながら、美しくなっていただけるように鍼灸治療を行っています。
より多くの方に鍼灸の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。
鍼灸や美容に関するブログを書いています。