【鍼灸師監修】産後の不調を改善!鍼灸と効果的なツボまとめ | 福岡市天神の美容鍼灸院
【鍼灸師監修】産後の不調を改善!鍼灸と効果的なツボまとめ
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【鍼灸師監修】産後の不調を改善!鍼灸と効果的なツボまとめ

産後ケアのイメージ

妊娠、出産は体が大きく変化する出来事です。

女性ホルモンのバランスが変わり体や精神状態に様々な変化が表れる他、骨盤が広がったり尾骨が痛んだり、大きなお腹で他の臓器が圧迫されることによる影響など、妊娠~出産~産後の女性はこの変化と付き合っていかなければなりません。

出産後はホルモンバランスや生活リズムの変化により、心身にさまざまな不調が現れやすくなります。

本記事では、産後ママに起こりやすい悩みと、そのケアに役立つツボや鍼灸、ご自宅でできるセルフケアのポイントをわかりやすくご紹介します。無理せず前向きに産後を過ごすためのヒントとして、ぜひご参考ください。

産後に多い身体の悩み

産後には主にこのような身体のお悩みがあります。産後の体調不良で鍼灸治療を受けに来られる方も多く、育児が少しでも楽しくできるようにお手伝いさせていただいております。

以下、各症状とその鍼灸治療について解説しています。

産後の頭痛・首肩こり

抱っこで肩こり頭痛に
産後は、ホルモンバランスの変化や育児による疲労で頭痛が起こりやすくなります。特に授乳や抱っこで同じ姿勢が続くと、首や肩がこり固まり緊張型頭痛を引き起こします。

出産時の大量出血や授乳による貧血も頭痛の原因となることがあります。

鍼灸では、首・肩まわりのツボを使い血流を改善して筋肉の緊張を和らげるとともに、自律神経やホルモンバランスを整えて頭痛を根本からケアしていきます。施術後は頭痛だけでなく肩こりや目の疲れもスッキリする方が多く、リラックス効果も期待できます。

ご自宅では首や肩を温め、無理のない範囲で軽いストレッチを取り入れるとさらに効果的です。

産後の腰痛・坐骨神経痛

産後の腰痛のイメージ

出産後は骨盤が大きく開いた状態から少しずつ元に戻りますが、この過程で骨盤や腰まわりの筋肉が不安定になり、腰に負担がかかりやすくなります。さらに授乳や抱っこなどで前かがみの姿勢が続くことで、腰痛やお尻から足にかけて痛みやしびれが出る坐骨神経痛に繋がることもあります。

  • 腰が重だるい、立ち上がるときに痛む
  • お尻や太もも、ふくらはぎにかけてしびれや痛みがある
  • 抱っこや授乳後に腰痛が悪化する

これらは育児の動作による筋肉の緊張や、骨盤の歪みが原因のことが多く、早めのケアが回復への近道です。

鍼灸では、腰痛や坐骨神経痛に対して骨盤周囲と下肢のツボを中心に施術を行い、緊張した筋肉を緩めて血流を改善します。さらに背中や手足のツボを使って自律神経とホルモンバランスを整えることで、産後特有の不調にもアプローチします。

痛みが強い時期は無理に動かさず、鍼で自然に回復を促すことで育児への負担を軽減できます。腰が安定してくると、抱っこや授乳が楽になり、育児がより安心して行えるようになります。

放置すると慢性化しやすい症状なので、早めの施術をおすすめします。

産後のむくみ

産後のむくみイメージ

妊娠中はお腹が大きくなることで下半身の血流が圧迫され、足がむくみやすくなります。出産後もしばらくは約9割のママがむくみを感じるといわれています。

主な原因は、ホルモンバランスの変化・体内水分量の変化・授乳や抱っこによる疲労などです。また、分娩による水分喪失の反動や、授乳で食事量が増えることもむくみを悪化させます。

鍼灸では、足や骨盤まわりのツボを使い血流やリンパの流れを促進することでむくみを和らげます。さらに、自律神経を整える施術でホルモンバランスの回復をサポートし、むくみが出にくい体質づくりを目指します。

自宅では、足を温める・軽くマッサージする・こまめに水分補給をすることがポイントです。高血圧や急激な体重増加、頭痛を伴う場合は早めに病院で相談してください。

産後の自律神経失調症

産後の自律神経失調症イメージ

出産後はホルモンバランスの急激な変化に加え、育児による睡眠不足や精神的ストレスが重なることで、自律神経が乱れやすくなります。その結果、体と心にさまざまな不調が現れることがあります。

  • めまい・ふらつき
  • 動悸・息切れ
  • 強い不安感やイライラ
  • 不眠・倦怠感

赤ちゃん中心の生活で自分のケアが後回しになりやすく、症状が慢性化すると産後うつや体調不良が悪化する原因にもなります。「少しおかしいな」と思ったら、早めに整えていくことが大切です。

鍼灸では、背中や手足のツボを使って自律神経とホルモンバランスを整える施術を行います。リラックス作用の高いツボを刺激することで、緊張がほぐれ深い眠りや心身の回復をサポート。さらに、肩こりや腰痛など育児による体の疲労にもアプローチすることで、全身の巡りを改善していきます。

定期的に施術を受けることで、産後の不調が軽減され、育児や家事も前向きに取り組みやすくなります。

産後の抜け毛

産後の抜け毛のイメージ

出産後はホルモンバランスの急激な変化や、妊娠・出産で消耗した栄養不足により、産後2~3カ月頃から抜け毛が増えることがあります。

多くは授乳が終わるころ自然に落ち着きますが、髪が細い方や疲労が強い場合は、地肌が目立つほど薄くなることもあり、不安を感じるママも少なくありません。

鍼灸では、頭皮や全身のツボを刺激して血流を促進し、髪に必要な栄養が届きやすい状態へ整えます。さらに、自律神経を整えることでホルモンバランスの回復をサポートし、抜け毛の改善や予防に繋げます。

ご自宅ではバランスの良い食事や十分な睡眠を心がけ、頭皮を軽くマッサージすることも効果的です。抜け毛が長引く場合は、専門家に相談しましょう。

産後ダイエット

産後ダイエットのイメージ

産後は母乳を作るために栄養が必要となり、食欲が増しやすい時期です。そのため体重が減りにくく、運動する時間も取れずに悩むママは少なくありません。

また、授乳が終わってホルモンバランスが戻っても、「たくさん食べる習慣」が残り、ダイエットが思うように進まないこともあります。

当院では、無理な食事制限をせずに続けられる耳つぼダイエットを行っています。耳のツボを刺激することで食欲を自然にコントロールし、代謝をサポートして効率的に体重を落としていきます。

また、耳つぼダイエットに加えてキャビテーションをすると、代謝の良い体にもなっていきます。

授乳中でも体に負担をかけずに取り組めるので、産後ママにも安心です。食生活のアドバイスと併せて行うことで、リバウンドしにくい体づくりを目指せます。

産後の生理

出産後はホルモンバランスが妊娠前の状態へ徐々に戻っていきます。生理の再開時期は授乳の有無で異なり、授乳中は3~4カ月後授乳していない場合は2カ月後くらいが目安です。

母乳を作るホルモンには排卵を抑える働きがあるため、完全母乳では再開が遅れる傾向にあります。また、赤ちゃんの泣き声などもホルモン分泌に影響し、再開時期には個人差が大きく出ます。

産後の生理イメージ

生理が再開しても周期が安定するまで時間がかかることがあります。産後は骨盤や子宮の位置が変わるため、生理痛が軽くなる人もいれば、逆に重くなる人もいます。

鍼灸では、骨盤まわりやホルモンに関係するツボを使い自律神経とホルモンバランスを整える施術を行います。これにより生理周期を安定させ、経血量や生理痛の改善もサポートします。

産後は焦らず、自分のペースで回復を見守りましょう。不安な症状が続く場合は、早めに医療機関や専門家へ相談することをおすすめします。

産後うつ

産後うつのイメージ

出産後はホルモンバランスの急激な変化睡眠不足・育児ストレスにより、心身が大きく負担を受けます。その結果、気分が落ち込み、涙が出やすくなるなど「産後うつ」が起こることがあります。

  • 気分が不安定で涙が出やすい
  • 眠れない、食欲が乱れる
  • 赤ちゃんを可愛いと思えない

こうした状態が続く場合は早めに対処が必要です。放置すると回復に時間がかかり、家族や赤ちゃんにも影響を及ぼすことがあります。

産後うつは産後2週間以内の早期対応が重要です。「辛い…」と感じたら、産婦人科や助産師さん、心療内科などに早めに相談しましょう。

まずは専門医の治療を優先して、補助的に鍼灸治療を受けられることをおすすめします。鍼灸で自律神経とホルモンバランスを整える施術を行います。背中や手足のツボをやさしく刺激することで、心身をリラックスさせ、睡眠の質を高め、気持ちを落ち着かせるサポートをします。

鍼灸は薬を使わず自然な回復を促すため、産後ママにも安心です。一人で抱え込まず、専門家や家族に頼りながら心身をケアしていきましょう。

産後のトラブルに効果的な主なツボ

※スマホの方は横にスクロールしてご覧ください。

産後ケアにおすすめのツボ一覧
ツボ名 場所 主な効能
合谷(ごうこく) 手の甲側で、親指と人差し指の骨が交わる部分のやや人差し指寄り ・自律神経を整える
・首こり・肩こりの改善
・頭痛の緩和
足三里(あしさんり) 膝のくぼみから指幅4本分下がった位置 ・胃腸の調子を整える
・免疫力の向上
・疲れ・むくみ・腰痛の改善
三陰交(さんいんこう) 内くるぶしから指幅4本分上、すね骨の内側 ・女性ホルモンのバランスを整える
・産後トラブル全般のケア
太衝(たいしょう) 足の甲で、親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみ ・イライラやストレスの軽減
・血行促進
・シミ予防・改善

①合谷(ごうこく)

合谷の位置

【ツボの取り方】 手の甲を上にして、親指と人差し指を大きく広げてみましょう。その時にできる「V字型のくぼみ」の、人差し指側の少し奥にあります。押すとズーンとした響きが感じられるところが合谷です。

【産後の悩みにこう効く】 合谷は「万能のツボ」と言われ、自律神経を整える効果があります。産後はホルモンバランスや生活リズムが乱れやすく、頭痛や肩こり、ストレスによるイライラ、不眠などが起こりがちです。このツボを刺激することで頭痛や肩こりの緩和、気分の安定、産後うつの予防にも役立ちます。

②足三里(あしさんり)

足三里の位置

【ツボの取り方】 膝のお皿の外側、少し下にあるくぼみに指を当てます。そこから指4本分(人差し指~小指の幅)だけ下がったところのスネの外側にあります。少し押すとズーンと響く場所が足三里です。

【産後の悩みにこう効く】 足三里は胃腸の働きを整え、免疫力を高めるツボです。産後は母乳を作るために栄養が必要ですが、食欲が乱れたり消化不良を起こしたりすることもあります。また、出産や育児で体力を消耗して疲れやすくなるため、足三里を刺激することで疲労回復やむくみ改善にも効果的です。産後ダイエットをしたい方にもおすすめです。

③三陰交(さんいんこう)

三陰交の位置

【ツボの取り方】 足の内くるぶしの一番高い場所に指を置き、そこから指4本分上にスライドします。スネの骨の内側にある少しへこんだ部分が三陰交です。

【産後の悩みにこう効く】 三陰交は女性ホルモンや子宮の働きに深く関わるツボです。出産後はホルモンバランスが急激に変化するため、生理不順や産後うつ、イライラなどが起こりやすくなります。このツボを刺激することで生理の回復、産後の不安定な気持ちの改善、母乳の出をサポートする働きが期待できます。

④太衝(たいしょう)

太衝の位置

【ツボの取り方】 足の甲で、親指と人差し指の骨をたどると交わる部分の少し手前にあります。押すと少し痛みを感じる場所が太衝です。

【産後の悩みにこう効く】 太衝はイライラやストレスを和らげるツボとして有名です。産後は慣れない育児や睡眠不足で心身ともに疲れやすく、情緒が不安定になりがちです。このツボを刺激することで気持ちを落ち着かせ、血流を良くしてシミや冷えの改善にも役立ちます。

自宅でできるお灸のすすめ

お灸を合谷にする

普段は育児で自分の身体のケアができない方は、自宅でお灸がおすすめです。上記に載せたツボはお灸にもよく使われ、温かい刺激で心地よさを感じたり、血行を促す効果が期待できます。

肩こりや腰痛など、つらいと感じる部位にも効果的です。背中は一人では難しいため、ご家族に手伝ってもらいましょう。

お灸について

お灸を初めて行う場合は、市販のせんねん灸などの台座付きタイプが安心です。燃焼時間は3~4分程度で、心地よい熱さを目安にしましょう。熱すぎると感じたらすぐに外し、無理のない範囲で行ってください。まれに水ぶくれなどのやけどが起こることがあります。火を使ったり少し煙が出たりもするので、赤ちゃんがいると難しいかもしれませんが、数分で終わりますので、換気扇をまわしながら、できそうな方はぜひやってみてください(*^^*)

お灸について詳しく知りたい方はこちら

産後のトラブルへの鍼灸治療

産後のトラブルの鍼灸治療

産後の鍼灸は、個々の症状(頭痛・首肩こり、腰痛・坐骨神経痛、むくみ、抜け毛、生理不順、自律神経の乱れ、産後うつ など)を別々に見るのではなく、全身のバランス(自律神経・ホルモン・血流・筋緊張・体温調節)を整えることで回復力を高めていく“総合調整”です。薬に頼りにくい授乳期でも取り入れやすいのが特長です。

鍼灸で目指すこと

  • 自律神経・ホルモンの調整:睡眠の質向上、情緒の安定、生理リズムの回復を後押し。
  • 血流・リンパ循環の改善:むくみ・冷え・頭皮や筋肉の栄養状態を整える。
  • 筋緊張の緩和と痛みケア:抱っこ・授乳姿勢で硬くなった首肩・腰・骨盤周囲をやさしく緩める。
  • 自己治癒力の活性化:産後の肥立ちの回復を底上げし、疲れにくい状態へ。

頻度の目安

回復期(産後~約3か月):週1回を目安に集中的に調整/安定期:2~4週に1回で維持。体調や授乳スケジュールに合わせて無理のないペースをご提案します。

安全性と連携

  • 鍼灸は授乳中でも受けやすい自然療法です(体調に合わせて刺激量を調整)。
  • 高熱・強い出血・急性症状などは医療機関を優先。必要に応じて病院と連携します。
  • 産後うつが疑われる場合は専門医の診療を第一に、鍼灸は補助的に併用します。

よくあるご質問

  • 痛みは? 細い鍼を使用し、心地よい刺激域で施術します。多くの方が施術中にうとうとされます。
  • どのくらいで実感? 個人差はありますが、初回~数回で「睡眠が深くなった」「体が軽い」と感じる方が多いです。症状が重ければ、回数必要になってきます。
  • 服装は? 施術用の着替えを準備していますので、普段着でお越しください。

産後は「がんばり過ぎないケア」が何より大切です。鍼灸で土台を整え、セルフケアを組み合わせながら、無理なく回復力を引き出していきましょう。

まとめ

妊娠・出産は女性の体に大きな変化をもたらし、心身ともに負担がかかります。多くの不調は時間とともに回復しますが、ツライときは無理せず早めにケアをすることが大切です。

赤ちゃんは家族みんなで育てる存在です。周囲に頼れるときは思いきって助けを求め、自分自身の休息時間も大切にしましょう。

鍼灸は心身のバランスを整え、産後の回復をサポートします。自分のためのリフレッシュ時間として、ぜひ取り入れてみてください。

この記事を書いた人

福岡で美容鍼

美容鍼灸師 太田里穂(おおたりほ)

中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患などを主に担当している。

健康になりながら、美しくなっていただけるように鍼灸治療を行っています。より多くの方に鍼灸の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。

鍼灸や美容に関するブログを書いています。

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