休止期脱毛症の鍼灸施術

髪の毛が急に抜け始めて、「このまま薄毛になるのでは…」と不安に感じていませんか?
その原因の一つが休止期脱毛症です。生活習慣やストレス、ホルモンバランスの乱れなど、身近なことがきっかけで起こるため、誰にでも起こり得る症状です。全体的に抜け毛が広がるのが特徴で、見た目の変化に悩む方も少なくありません。当院では、血流を整えて髪に栄養を届ける「育毛鍼」による鍼灸施術を行っています。自然な方法で髪の回復を目指したい方におすすめのケアなのでご紹介します。
休止期脱毛症とは
休止期脱毛症とは、なんらかの原因で毛髪の多くが休止期になり、抜け毛が増える症状のことです。頭頂部や後頭部から徐々に抜け毛が進行するAGAとは違い、側頭部も含む頭部全体から脱毛するのが特徴です。

はじめに、髪の毛にはヘアサイクル(毛周期)があり、「成長期→退行期→休止期」という3つのサイクルを繰り返しています。
- 成長期: 髪の毛が伸びている期間で、毛髪の細胞分裂が活発。期間は2~6年。
- 退行期: 髪の成長が止まり、毛が抜ける準備を始める時期。期間は2~3週間。
- 休止期: 毛母細胞が消滅し、毛が抜けやすい状態。通常は3~4ヵ月続いた後、再び成長期へ。
正常な場合、毎日50~100本の毛髪が抜けます。ヘアサイクルは男女で少し異なり、男性は3~5年、女性は4~6年が1サイクルです。
髪の毛全体の85~90%は成長期、残り約10%が休止期です。このバランスが崩れると薄毛が進行します。
休止期脱毛の種類
休止期脱毛は、次の3種類に分かれます。
- 急性休止期脱毛: 成長期の髪が急に休止期へ移行し、短期間で急に毛が抜ける。円形脱毛症と誤解されやすい。
- 慢性びまん性休止期脱毛: 6ヵ月以上かけて少しずつ進行する。
- 慢性休止期脱毛: 休止期が6ヵ月以上続き、原因が不明。女性の男性型脱毛症(FAGA)と似ている。
休止期脱毛症の原因
主な原因は次の5つです。
- 生活習慣: 睡眠不足、栄養不足、暴飲暴食、過度の飲酒、喫煙、運動不足。
- ストレス: 精神的・肉体的ストレス。
- 出産: 妊娠・出産後のホルモン変化(エストロゲン)。
- 内科的疾患: 膠原病、甲状腺異常、鉄欠乏性貧血、亜鉛欠乏、糖尿病など。
- 薬剤: 抗がん剤や薬の副作用。例:カルバマゼピン、ワルファリン、ヘパリン、エトレチナート。
休止期脱毛症への鍼灸施術

当院には「育毛鍼」というメニューがあります。頭皮への鍼で血流を改善し、髪への栄養供給を促します。
髪が生えるだけでなく、ハリやコシ、抜毛の減少、ボリュームアップなどを感じる方もいます。通常の休止期は3~4ヶ月なので、週1回ペースで3ヶ月以上の施術をおすすめしています。
原因によっては、頭皮だけでなく身体にも鍼を行い、症状の緩和や改善を図ります。
休止期脱毛症におすすめのツボ

腰の「腎兪(じんゆ)」は第2腰椎のラインにあり、腰痛時によく押さえる場所です。
東洋医学で「腎」は生命力やエネルギーを司り、成長や生殖にも関係します。腎の機能低下はホルモンバランスの乱れや免疫力低下を招き、疾患を悪化させる要因になります。腎兪を補うことで休止期脱毛症の症状緩和を図ります。
まとめ
髪の毛にはヘアサイクルがあり、その中の休止期に異常があると休止期脱毛症を発症します。原因は生活習慣、ストレス、出産など様々です。
鍼灸施術は改善に有効です。頭皮や身体への鍼で血流を整え、症状の緩和と脱毛改善を促します。薬を使いたくない方にもおすすめです。
関連ページ
この記事を書いた人

鍼灸師 大平洋子(おおひら ようこ)
中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患を主に担当。健康と美を両立する鍼灸治療を行い、鍼灸の魅力を広めています。

