不妊治療のステップアップに悩む方へ。体を整えることで前に進めた【不妊鍼灸症例】

不妊治療のステップアップに悩む方はとても多い。
妊活をしていると、「次に進んだ方がいいのは分かっているけれど、なかなか踏み出せない」という気持ちを抱える方は少なくありません。
人工授精を何回か行い結果が出なかったとき、体外受精という選択肢が見えてくる一方で、
- 本当に今進むべきなのか
- 心と体がついていっていない気がする
- 一度少し休みたい
こうした迷いや不安を感じるのは、ごく自然なことです。
今回ご紹介するのは、人工授精後に1年間妊活をお休みし、体外受精へのステップアップに悩んでいた方の症例です。
もくじ
施術例
症例:30代前半 女性
主訴:頚肩腕症候群、不妊
この方が最初に来院されたきっかけは、不妊ではありませんでした。
主な訴えは、2か月前から続く肩から腕にかけての痛みとしびれでした。
特に指先のしびれが強く、日常生活だけでなく仕事にも支障が出るほどつらい状態。
整形外科では手根管症候群と診断され、薬を服用していましたが、症状の改善はみられませんでした。
初診時は、不妊については触れられず、「今は妊活をお休みしている」ということも話されませんでした。
頚肩腕症候群に対する鍼灸施術
首から肩にかけての筋緊張が非常に強く、首がガチガチに固まった状態でした。
この状態では、頚椎周囲の神経や血流が圧迫され、腕や指への痛み・しびれが出やすくなります。
そこで鍼灸施術では、
- 首・肩・背中上部を中心に緊張を緩める
- 血流と神経の通りを改善する
ことを目的に、首周りへのアプローチを重点的に行いました。
その結果、1回目の施術後から指のしびれが軽減。
症状の変化を確認しながら、継続して施術を行っていくことになりました。
妊活をお休みしていることを打ち明けられたタイミング
3回目の施術時、少しずつ体の変化を感じられるようになった頃に、「実は妊活をお休みしているんです」と打ち明けてくださいました。
- 一昨年、人工授精を4回行ったが妊娠には至らなかった
- 昨年は心身の負担を考えて妊活をお休みしていた
- 体外受精へのステップアップを考えているが、気持ちの整理がつかない
「鍼灸は妊活にいいと聞いたので、今できることを少しでもしておきたい」
「冷え症を改善したい」「生理痛もひどい」
こうした思いから、妊活のご相談も受けることになりました。
頚肩腕症候群と不妊、両方へのアプローチ

この方の場合、頚肩腕症候群だけでなく、
- 冷え症
- 生理痛
- 首肩の強いこり
といった症状が重なっており、血流や自律神経の乱れが不妊にも影響していると考えられました。
- 頚肩腕症候群の改善
- 妊活に向けた体づくり
この2つを同時に行っていく方針としました。
お腹は比較的温かいものの、腰回り・お尻・下半身の冷えが強かったため、自宅でのお灸も取り入れていただくことにしました。
施術ペースは、2週間に1回の来院でした。
不妊鍼灸開始から3か月後、不妊治療再開
不妊鍼灸施術を始めて約3か月。
体調が安定してきたタイミングで、不妊治療を再開されることになりました。
まずは人工授精を行うことになり、「人工授精の3日前」と「着床期のタイミング」に合わせて来院され、鍼灸施術を行いました。
残念ながらこの周期では着床には至りませんでしたが、ご本人の中で「体外受精へ進もう」という気持ちが固まり、ステップアップを決意されました。
体外受精へのステップアップ
人工授精の翌月に初めての採卵を実施。
- 15個以上の卵を採取
- 9個の胚盤胞を凍結
初めての採卵としては、とても良好な結果でした。
1周期お休みし、次はいよいよ胚盤胞移植へ進むことになります。
胚盤胞移植と妊娠

移植1週間前の内膜の厚さは5mmとやや薄めでしたが、移植当日には10mmまでしっかりと厚くなっていました。
移植当日も来院され、着床をサポートする鍼灸施術を行いました。
そして、初めての胚盤胞移植で無事に妊娠されました。
妊娠後は、早い段階からつわりの症状が出始めたため、つわりを和らげるための鍼灸施術も行いました。
現在も、首肩こりのケア、妊娠中の体調管理を目的に継続して通院されています。
おすすめのツボ

腰のツボ「腎兪(じんゆ)」は、妊活中の方におすすめのツボです。
第2腰椎の高さで、背骨の中心から指2本分外側にあります。
妊娠や出産への働きを担うと考えられ、子宮や卵巣まわりの血流が良くなり、体が内側から温まりやすくなります。
冷え症や腰痛の方にもおすすめです。
まとめ
妊活において、立ち止まったり悩んだりする時間は、決して無駄ではありません。
悩む時間も妊活の一部になります。
身体の不調を改善し、心を落ち着ける期間があったからこそ、次のステップへ前向きに進めることもあります。
悩んでいる期間にお身体をいい状態に整えていくのも、一つの選択肢だと思います。
「今すぐ決められない」
「少し整えてから進みたい」
そう感じている方にとって、ひとつの参考になれば幸いです。
参考文献
※一般的に不妊鍼灸・補助療法として引用されることの多い文献です。
出典:Paulus WE
出典:Manheimer E
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この記事を書いた人

鍼灸師 大平洋子(おおひら ようこ)
中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患などを主に担当している。
健康になりながら、美しくなっていただけるように鍼灸治療を行っています。
より多くの方に鍼灸の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。
鍼灸や美容に関するブログを書いています。














