卵巣欠落症状の鍼灸治療

卵巣欠落症状とは
卵巣欠落症状とは、自然閉経の前に病気やがんなどで手術による両側卵巣摘出や放射線治療を行った結果、卵巣機能が低下または喪失することによって起きる合併症です。女性ホルモンが減少するため、更年期障害のような症状が出ることがあります。

のぼせやほてり(ホットフラッシュ)、発汗、肩こりや腰痛、頭痛、骨粗しょう症といった身体的なもの、抑うつ、不安、イライラ、不眠などの精神的なものなど様々な症状があります。
卵巣欠落症状によるリスク
一般的に、女性は年齢を重ねると卵巣機能が低下したのちに閉経を迎え、更年期障害と呼ばれる症状が出ることがあります。閉経を迎えると脂質異常症や骨量減少症に伴う骨粗しょう症のリスクが高まります。
しかし、閉経前のがん治療や病気により人工的に卵巣を摘出し閉経状態となった場合、急激な女性ホルモンの低下による症状や、長期的には骨粗しょう症、脂質異常症、動脈硬化症などのリスクがあります。
卵巣欠落症状の治療
卵巣欠落症状の治療にはホルモン補充療法や漢方薬の服用があります。
ホルモン補充療法とは不足している女性ホルモンを投与する治療で、HRTとも呼ばれます。ET(エストロゲン単独投与)とEPT(エストロゲン・黄体ホルモン併用投与)があり、子宮の有無により選択されます。
漢方薬は、更年期障害の緩和に使われ、症状によって種類が異なります。代表的なものには以下があります。
- 桂枝茯苓丸
- 加味逍遙散
- 当帰芍薬散
東洋医学からみた卵巣欠落症状
東洋医学では、更年期障害のことを「経断前後症」、「絶経前後症」と呼んでいます。つまり、閉経前後に出てくる症状のことです。
卵巣欠落症状は女性ホルモンの急激な減少で更年期障害のような症状が出ることがあります。東洋医学では「肝」と「腎」が関係していると考えます。
腎は生命エネルギーを生成・貯蔵し、肝は血を貯蔵します。この二つが弱まると更年期症状を生じます。

- のぼせタイプ(肝腎陰虚):体内の液体不足で熱が強くなる
- 冷えタイプ(腎陽虚):生命エネルギー不足で身体が冷えて血行不良
- イライラうつうつタイプ(肝鬱気滞):精神的ストレスで精神症状が起こる
- むくみタイプ(痰湿阻滞):余分な水分が停滞し、むくみやだるさが生じる
卵巣欠落症状への鍼灸治療
卵巣欠落症状は、病気やがんによる卵巣摘出で女性ホルモンが急減し、更年期障害のような症状が現れやすくなります。そのため、鍼灸治療では「肝腎」機能を高め、自律神経を整える施術を行います。
背中、手足、頭など全身に鍼を行い、症状の緩和を目指します。

まとめ
卵巣欠落症状とは、自然閉経の前に病気やがんで人工的に卵巣を摘出した結果、卵巣機能が低下して起きる合併症です。女性ホルモンが急激に減少するため、更年期障害のような症状が出ることがあります。
更年期障害には、のぼせやほてり、骨粗しょう症などがあり、閉経後は脂質異常症や骨量減少症に伴うリスクも高まります。
治療にはホルモン補充療法や漢方薬があり、鍼灸では全身施術で自律神経を整えます。