副鼻腔炎に鍼灸は効く?つらい鼻づまりや頭重感に期待される効果とは
もくじ
副鼻腔炎に悩む方へ|鍼灸という選択肢
「副鼻腔炎がなかなか治らない…」「薬は使っているけど、鼻の不快感がずっと続く」
そんな慢性的な鼻づまりや顔の重だるさに悩む方が、鍼灸を選択肢のひとつとして検討するケースが増えています。この記事では、副鼻腔炎に対して鍼灸がどのように働くのか、期待される作用や注意点をわかりやすく解説します。
副鼻腔炎とは?〜薬だけではスッキリしない理由〜
副鼻腔炎(蓄膿症)は、鼻の奥にある空洞「副鼻腔」に炎症が起こり、膿や粘液がたまることで次のような症状が現れる疾患です。
- 鼻水、鼻づまり
- 頭痛
- 顔の重圧感
- 後鼻漏(のどに流れる鼻水)
多くの場合は抗生物質や点鼻薬で治療されますが、慢性化すると治りづらくなることもあります。
- 耐性菌の出現
→必要以上に抗生物質を服用すると、耐性菌が増えやすくなる - 慢性化すると粘膜が厚くなる
→ 粘液の排出がうまくいかず、膿がたまりやすくなる - 鼻の通気性が悪くなる構造的な問題
→ 鼻中隔弯曲やポリープがあると薬が届きにくい - 自律神経の乱れや免疫力の影響
→ 疲労・ストレス・睡眠不足などにより回復しにくくなる
副鼻腔炎がお薬で改善しにくくなった場合、体質そのものにアプローチできる補助療法として、鍼灸によるケアが注目されています。
鍼灸で副鼻腔炎に期待される3つの働き
血めぐりを良くして、膿の排出サポート
副鼻腔炎では、鼻づまりや顔の重だるさがつらくなることがあります。これは、副鼻腔の中に膿や分泌物がたまってしまうことが原因のひとつです。
鍼灸では、顔や鼻のまわりのツボをやさしく刺激することで、局所の血流を促進し、膿の排出をうながします。施術後に鼻水がスッと出て、「鼻が通って楽になった」と感じる方もいらっしゃいます。
鼻や顔の不快感をやわらげる
副鼻腔炎による顔の重さや頭のだるさは、鼻まわりの循環が悪くなることで起こることがあります。
鍼灸では、鼻や顔の周囲のツボを刺激して、滞っていた血液やリンパの流れを整えていきます。その結果、炎症がしずまり、鼻の通りや顔の重さが軽くなるなど、不快感のやわらぎが期待できます。
自律神経を整えて体調をととのえる
慢性の副鼻腔炎は、ストレスや疲労、寝不足などが引き金になることもあります。こうした状態が続くと、自律神経のバランスが乱れ、鼻の不調や炎症が長引きやすくなります。
鍼灸には、自律神経を整えて体をリラックスさせる働きがあり、自然治癒力・免疫力を高めてくれます。また、首や肩のこりをやわらげることで、顔まわりのめぐりも良くなり、呼吸がしやすくなったり、症状の予防にもつながります。
臨床研究において、慢性副鼻腔炎や鼻づまりの患者に対し、ランダム化二重盲検試験を行った結果、鍼治療によって主観的な鼻づまりの程度(VASスコア)が有意に改善し、鼻腔通気量(NAF)も向上したことが報告されています。
この結果は、鍼刺激が鼻腔の通気性を高めることで、粘膜機能の改善や分泌物の排出をサポートする可能性を示しています。血流や自律神経の調整を通じた作用が関与していると考えられ、膿の停滞による不快感や重だるさの軽減につながることが期待されます。
出典:Sertel S. et al., Am J Rhinol Allergy. 2009
副鼻腔炎の緩和に使われるツボ例
- 上星(じょうせい):頭痛、目や鼻の不快感に
- 印堂(いんどう):眉間の重だるさや鼻づまりに
- 迎香(げいこう):鼻の通り・鼻づまりを改善
- 合谷(ごうこく):鼻水、鼻づまりや頭の重さに広く活用
- 風池(ふうち)・天柱(てんちゅう):頭痛や首のこわばりに
※症状や体質に応じて使うツボは異なります。気になる方は専門家にご相談ください。
副鼻腔炎の鍼灸施術の特徴と流れ
副鼻腔炎の鍼灸治療では、鼻周辺にあるツボを中心にアプローチします。これにより、副鼻腔の炎症を和らげ、鼻づまりや顔の重だるさなどの症状を軽減することが期待されます。
また、鼻だけでなく、手足や背中のツボにも鍼やお灸を行い、自律神経のバランスを整えていきます。体質そのものに働きかけることで、症状の再発を防ぐ土台づくりをサポートします。
鼻まわりのツボには、押すと痛みを感じやすいポイントもありますが、これはアレルギー性鼻炎や副鼻腔の不調に関連していることが多く、的確なツボ刺激として施術に取り入れられます。
「鼻の周囲に鍼を打つなんて怖い…」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、実際の鍼は非常に細く、ほとんど痛みを感じません。
中には施術中にリラックスして眠ってしまう方も多く、痛みに敏感な方や鍼灸が初めての方にも安心して受けていただけます。
鍼灸院への通院目安
副鼻腔炎の鍼灸施術は、週1~2回の施術を数回程度まず受けてみてください。鍼灸の効果は個人差があるので、施術後の改善具合を見ながら、今後の施術スケジュールを考えていきます。
また当院では自宅でできるセルフケアお灸をしていただくようにアドバイスしています。お灸は自然治癒力を高めたり、体調を整える効果が期待できます。お灸をするツボはこちらでお伝えします。
鍼灸を始めるタイミングと注意点
鍼灸を検討する目安は以下の通りです。
- 鼻づまりや顔の不快感が長引く
- 薬だけでは十分に改善しない
- 副作用を避けたい
- 再発を繰り返している
注意点
- 急性の高熱や激しい痛みがある場合は耳鼻科を受診
- 鍼灸は補助療法であり、西洋医学との併用が前提
まとめ|副鼻腔炎に鍼灸を取り入れるという選択肢
鍼灸は、副鼻腔炎による鼻づまり・顔の不快感・慢性化予防などを目的に、全身のバランスを整えるアプローチです。
- 薬だけではスッキリ改善しない方
- 薬以外の補助療法を試したい方
- 自然な回復力を高めたい方
副鼻腔炎でお悩みの方には、安心感のある選択肢になり得ます。ただし、医師の診断・治療を優先しうえで、鍼灸治療を取り入れみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人

医学博士・鍼灸師 箱嶌大昭(はこしま ひろあき)
東洋医学の本場、中国・北京にて日本人初の医学博士を取得後、福岡・天神にて「中国鍼灸院 箱嶌医針堂」を開業。福岡県内をはじめ、九州各県から多くの患者が来院。
肩こり、腰痛など日常的な症状から慢性的な神経痛、自律神経失調症、難病などの鍼灸治療を行っている。
「慢性的な副鼻腔炎などは鍼灸治療で改善する可能性があるので、ぜひ受けてみてはいかがでしょうか?」
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