椎間関節型腰痛の鍼灸治療

このタイプはマッサージや湿布では届きにくい深部に問題が起きやすく、鍼灸で関節周囲と深層筋へ直接アプローチすることが有効です。
もくじ
椎間関節性腰痛症とは
腰痛(ぎっくり腰)の原因はいくつかあります。代表的なものには次のようなタイプがあります。
- 椎間関節性腰痛:背骨と背骨の間にある関節(椎間関節)が炎症を起こすタイプ
- 筋筋膜性腰痛:筋肉や筋膜に負担がかかって起こるタイプ
- 椎間板性腰痛:椎間板(クッション部分)の損傷によるタイプ
どの腰痛でも腰に痛みが出ますが、原因となる場所や痛み方が異なります。その中でも椎間関節性腰痛は、背骨同士をつなぐ小さな関節が炎症を起こすことが原因で、「腰の真ん中」や「腰とお尻の境目」がズキッと痛むのが特徴です。
椎間関節は、体を前に倒したり後ろに反らしたりするときに動く関節です。日常生活の中でも、次のような習慣や動作で負担がかかりやすくなります。
- 長時間のデスクワークやスマホ操作などで同じ姿勢を続ける
- 重い荷物を何度も持ち上げる動作を繰り返す
- 中腰や猫背など、姿勢の崩れが慢性化している
- スポーツや仕事で腰を大きく反らす動作が多い
これらが積み重なると、椎間関節に過度な負担がかかり炎症を起こします。炎症が起きると周囲の筋肉もこわばり、腰を動かすたびに痛みが出やすくなります。
椎間関節性腰痛セルフチェック
いくつ当てはまりますか? 3つ以上チェックがつく場合は、椎間関節性腰痛の可能性があります。
※このチェックはあくまで目安です。痛みが強い・長引く場合は、整形外科や鍼灸院にご相談ください。
椎間関節型腰痛の鍼灸治療
椎間関節型腰痛の鍼灸治療では、まず背骨と背骨をつなぐ関節(椎間関節)の炎症を鎮めることを目的とします。同時に、その関節を支える腰の深い筋肉のこわばりをゆるめることで、動きやすく、痛みの少ない状態へと整えていきます。
当院には、ぎっくり腰のあとに「腰とお尻の境目の痛みだけが残っている」という方が多く来院されます。このようなケースでは、関節や筋肉の奥に炎症や緊張が残っていることが多く、鍼灸で血流を整えながら回復を促します。
痛み止めやマッサージではなかなか改善しない腰の奥の痛みには、鍼灸による深部へのアプローチが有効です。慢性的な腰痛でお悩みの方は、一度鍼灸治療をお試しください。
椎間関節性腰痛の鍼灸治療|代表的な症例3例
当院で実際にみられる「椎間関節性腰痛」の症例を3つご紹介します。
いずれも、関節や筋肉の奥に残る炎症・緊張を鍼灸で整えることで改善が見られたケースです。
症例①:ぎっくり腰後に残る「腰の奥の痛み」
40代女性。
ぎっくり腰を起こした後、動けるようになったが「腰とお尻の境目の痛みだけが取れない」との訴え。椎間関節部に圧痛があり、後ろに反らすと痛みが強く出ました。鍼灸で椎間関節周囲に深部刺激を実施。2〜3日おきに3回行い、前屈・後屈の動作痛がほぼ消失しました。
症例②:デスクワークによる慢性的な腰の重だるさ
30代男性。
長時間のデスクワークが続き、午後になると「腰の真ん中が重くて動きづらい」と感じていました。MRIでは異常がなく、椎間関節への炎症や姿勢による負担が疑われました。椎間関節周辺の圧痛部を中心に週1回の施術を3週継続。4回目の来院時には、長時間座っていても違和感がほとんどなくなり、姿勢を保つのが楽になりました。
症例③:反り腰姿勢で起こる朝の腰痛
50代女性。
朝、起き上がるときに「腰の真ん中がピキッと痛む」という症状が続いていました。立ち姿勢ではやや反り腰がみられ、腰椎後方の関節に負担がかかっている状態でした。椎間関節まわりやお尻、ふくらはぎの筋肉の緊張をやわらげる施術を週1〜2回ペースで合計5回。約2週間で朝の痛みが徐々に軽減し、現在は痛みもなく過ごせています。
動画で解説:腰痛の鍼灸治療
立ち仕事で慢性的な腰痛に悩まされている方に鍼灸治療を行いました。
首肩こりから腰痛まで背中のこりが強い方への鍼灸治療例です。
まとめ
椎間関節腰痛は、長時間のデスクワークや姿勢のクセで負担が積み重なって起こりやすい腰痛です。
鍼灸で関節周囲の炎症と深層筋のこわばりを整えることで、痛みの軽減と動きやすさの回復が期待できます。
再発を防ぐために、姿勢の見直しやセルフケアと併用しつつ、症状が続く場合は専門家にご相談ください。















