椎間板ヘルニアの鍼灸治療

本記事では、椎間板ヘルニアの基礎(仕組み・症状)に加え、椎間板ヘルニアへの筋肉(大腰筋・多裂筋・梨状筋など)の影響をやさしく解説。さらに、当院の中国針による鍼灸アプローチと症例をご紹介します。
福岡で腰椎椎間板ヘルニアの鍼灸施術
福岡・天神にある当鍼灸院では椎間板ヘルニアの鍼灸施術をおこなっています。中国針を用いた鍼灸施術は、他にはない独特な鎮痛効果で、腰・お尻・太もも・すね・ふくらはぎ・足裏にかけての痛みやしびれを軽減させていきます。
福岡で椎間板ヘルニアによる症状でお悩みの方には当院の中国針をお勧めいたします。
腰椎椎間板ヘルニアとは

背骨には、骨と骨の間でクッションの役割をする軟骨「椎間板」があります。
- 椎間板
- 外側は比較的かたく、内側はゼリー状の「髄核」で満たされています。
- 髄核
- 椎間板の中心部にある柔らかい部分を指します。
椎間板ヘルニアは、次のような負荷で椎間板に亀裂が入り、ゼリー状の髄核が外へ飛び出すことで起こります。
- 咳やくしゃみ
- 重いものを抱える動作
- ぎっくり腰 など
飛び出した椎間板(髄核)が神経を圧迫すると、腰や足の痛み・しびれなどの症状を引き起こすと一般的に考えられています。
椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの症状は、主に坐骨神経痛といわれる症状です。
腰、お尻・太もも、足にかけて痛んだり、しびれます。
椎間板ヘルニアが起きる原因として、咳やくしゃみ、重いものを抱えたり、ぎっくり腰、長時間のデスクワークや運転などがあります。
【椎間板ヘルニアによる症状】
・立っていると腰や下肢が痛んだり、しびれたりする
・椅子に座っていると腰や下肢が痛んだり、しびれたりする
・座った状態から立ち上がると腰や下肢が痛んだり、しびれたりする
・歩くと腰や下肢が痛んだり、しびれたりする
・前傾姿勢で痛みが強くなる
・下肢の一部を手でさわると感覚が鈍い
椎間板ヘルニアと筋肉の影響
椎間板ヘルニアは「椎間板そのものの異常」だけでなく、周囲の筋肉の状態によっても症状が左右されることが近年の研究で分かってきています。
例えば、2024年のレビュー研究では椎間板の変性と腰部の多裂筋などの筋肉の萎縮や脂肪化が相互に関係していると報告されています(Jiang 2024)。
また、腰の奥にある大腰筋や多裂筋といった深部の筋肉が硬くなったり弱ったりすると、背骨を支える力が低下し、椎間板にかかる負担が増えてしまいます。実際に2024年のMRI研究では、多裂筋の変性が腰椎ヘルニアの症状の重さと関連することが示されています(Wang 2024)。
さらに、手術後の研究からも筋肉の脂肪変性が再発リスクを高めることが明らかになっており(Neurospine 2023)、単に椎間板だけでなく「筋肉の状態」も治療や予後に大きく関わっていることが分かります。
つまり、椎間板ヘルニアの症状は「椎間板の異常」と「筋肉の不調」が重なって起こる場合が多いのです。そのため、治療では椎間板へのアプローチに加えて、周囲の筋肉を緩めて血流を改善することがとても重要になります。
このため当院の鍼灸施術では、椎間板そのものだけでなく、周囲の筋肉を緩めて血流を整えることに重点を置いています。これにより、痛みやしびれの軽減だけでなく、再発防止や日常生活の快適さにつながります。
椎間板ヘルニアの鍼灸

椎間板ヘルニアの中国鍼灸施術では、腰椎の神経根部や坐骨神経に向けて中国針をしていきます。
また、腰や坐骨神経が分布しているお尻・太もも・ふくらはぎ・すね・足の裏に刺激を送ります。
椎間板ヘルニアによる症状は、背骨が不安定な状態のため、腰お尻の筋肉、(多裂筋、腰方形筋、大腰筋など)やお尻(の筋肉が骨を保護しようとして緊張し、筋肉にコリを作ったり、血流障害を起こし、より一層症状を強めるような悪循環を形成していきます。
中国針はこの筋肉の緊張や血流障害を取り除き、椎間板ヘルニアによる症状を改善していきます。

大腰筋刺鍼法
主に椎間板ヘルニアや頑固な慢性腰痛に用います。大腰筋とは腹筋と背筋の中間にあり、背中側やお腹側から押さえても触れることができない位置にあります。背骨を支えている筋肉の1つです。
当院では、中国針を用い、的確に大腰筋をねらうことにより腰深部のコリや炎症を取り除きます。大腰筋は深部にあるためマッサージや一般の鍼では大腰筋のコリや炎症を取り除くことは難しいです。
症例
当院には多くの椎間板ヘルニアによる腰、足にかけての痛み、しびれに悩んでいる方の鍼灸施術をさせていただいています。その一部をご紹介いたします。
杖がないと足が痛くて歩けない椎間板ヘルニア

【患者】 60代 男性 福岡市在住 【症状】 右足すねの痛み
【状況】 3年前から上記症状があり、じっとしていても痛みが強い。福岡市内の整形外科にてMRI等の検査の結果、椎間板ヘルニアと診断され、鎮痛剤などを服用していたこともある。ここ数ヶ月痛みが強い時が多く、寝ていても耐えられない痛みがする時がある。10日後に遠方で親戚の結婚式があるため、どうにか少しでも痛みが軽減できないかと杖をついて来院する。
【施術経過】 当院にて2~3日おきに3回ほど坐骨神経痛の中国鍼を行い、じっとしていてもたまらない痛みはなくなり、親戚の結婚式にも無事出席されました。施術5回目後には、外出時に杖を忘れて出かけてしまい、あわてて自宅に杖を取りに帰るくらい改善してきました。施術8回目後、杖なしで散歩などが可能となりました。合計10回の施術を行い、症状が落ち着いたため様子を見ることにする。
坐骨神経痛などで杖をついて来られる患者様が中国針により杖なしでも歩けるようになる。また、杖をついて来院し、帰りには杖を忘れて帰られることがあります。
腰、左お尻、ふくらはぎ、足裏が痛い椎間板ヘルニア

【患者】 50代 男性 福岡市在住 【症状】 腰、左お尻の痛みと左膝裏から足裏にかけてのしびれ(坐骨神経痛)
【状況】 2ヶ月前に交通事故に遭い、しばらくは特に症状もなく過ごしていたが、1ヶ月前から上記症状が出はじめる。福岡市内の整形外科でのレントゲンの結果、腰椎椎間板ヘルニア、左根性坐骨神経痛と診断される。硬膜外ブロック注射を数回受けるなどの処置をしてきたが、症状が改善しない。2ヶ月後の山笠に出るため、それまでにどうにか治りたいとのことで当院へ鍼灸を受けに来られました。腰、お尻の筋肉がガチガチに硬くなって、腰を軽く押さえるだけで足先までしびれが出現するような状態でした。
【施術経過】 はじめのうちは週2回のペースで鍼灸施術を行う。施術5回目で腰痛やお尻の痛みは以前の半分程度になるが、膝から下のしびれは依然ある。施術10回目で腰痛・お尻の痛みはほぼなくなる。足先のしびれも軽減してきた。しびれを感じない時も出てきた。ただ、疲れがたまるとしびれを感じる。施術15回目、足のしびれは出なくなった。どうにか山笠まで間に合いました。
歩くと痛くなる椎間板ヘルニア

【患者】 40代 女性 福岡市在住 【症状】 歩くとお尻・ふくらはぎ・足がしびれて痛くなる(坐骨神経痛)
【状況】 10年前から坐骨神経痛があり、だましだまし過ごしてきていた。今年の6月から痛みが強くなり、5分歩くとお尻から足にかけてしびれと痛みが起きて動けなくなる。しゃがみこむと楽になる。整形外科で検査を受けたところ「腰椎椎間板ヘルニア」と診断される。福岡市内の病院での電気治療・ブロック注射を行ってきたがなかなか改善がみられないので当院で鍼灸を受けにくる。
【施術経過】 施術5回目:今までの痛みが半減(VAS5)。10年来の痛みが確実になくなってきており喜ばれる。施術7回目:あと3~4割。10分は休まず歩けるようになる。施術9回目:1キロ歩いても平気になる。
腰椎椎間板ヘルニア手術(PLDD、ヘルニア摘出術)後に再発した足の痛み

男性 30代 福岡県小郡市在住
椎間板ヘルニアの手術を受けて一時的には改善しても、また再発する方もいるようです。今回来院された方もその1人、ヘルニア歴10年、その間に4回もの手術を受けたそうですが、またもヘルニアを再発し、神頼みで鍼灸を受けてみたそうです。
すると、今までの足の痛みや冷感、股関節の痛みが嘘のように消えてしまいました。この辛かった10年間は一体なんだったのか?と思ったそうです。
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まとめ
椎間板ヘルニアの症状は、椎間板のトラブルに加え、周囲筋(大腰筋・多裂筋・殿筋など)の緊張や血流低下が重なることで悪化しやすくなります。
当院の中国針は、神経根付近と関連筋へ的確にアプローチし、痛み・しびれの軽減と動作のしやすさを目指します。
症状の背景にある筋肉の問題も併せて整えることで、再発予防と日常生活の快適さにつながります。