緑内障に鍼灸は効果がある?点眼と併用できるサポートケア | 福岡市・天神の中国鍼灸院 箱嶌医針堂
緑内障に鍼灸は効果がある?点眼と併用できるサポートケア
福岡の鍼灸院

緑内障に鍼灸は効果がある?点眼と併用できるサポートケア

「点眼薬を使っているけど、これ以上視野が悪くなったら…」
「少しでも視界を守る方法を探している」
そんな不安を抱える方の中で、鍼灸を緑内障の補助療法として取り入れる人が増えています。
この記事では、鍼灸が緑内障にどのように関わるのか、その効果の可能性と注意点について、わかりやすく解説します。

緑内障の治療は「進行を止める」が中心

緑内障は、眼圧の上昇などにより視神経が傷つき、視野が少しずつ欠けていく病気です。
基本的な治療は点眼薬や手術による眼圧コントロールですが、いったん失われた視野は戻りません。

そのため、進行を遅らせる補助療法として鍼灸に注目されています。

鍼灸が緑内障に期待される3つの働き

緑内障への鍼灸の効果とは

① 血流を促進して視神経の環境を整える

目の周りや全身の血行促進により、視神経への栄養や酸素の供給が期待できます。
一部の研究では、血流改善が視神経機能の維持に役立つと報告されています。

例えば、ドレスデン大学病院のLeszczynska らによるランダム化臨床試験では、緑内障(原発性開放隅角型)患者に対し“眼に特化した鍼治療”を行った後、脈拍性眼血流(POBF)が平均 5.6 μL/minから 6.7 μL/minに有意に増加(P = 0.014)しており、眼底血流の短期的な改善が確認されたとされています。
出典:Leszczynska et al., Clin Ophthalmol. 2018

② 自律神経を整えて眼圧の安定をサポート

ストレスや緊張は交感神経を優位にして血管を収縮させ、眼圧の不安定化を引き起こすことがあります。
鍼灸は、こうした自律神経のバランスを整え、副交感神経を活性化する働きがあるとされており、
間接的に眼圧の安定化が期待される可能性があります。

実際に、台湾で行われたランダム化比較試験では、緑内障患者に対し眼に特化した鍼治療(晴明穴など)を行ったところ、眼圧の有意な低下がみられました。
出典:Chen et al., Clin Ophthalmol. 2020, PMCID: PMC7204356

また、日本の研究では、特定の経穴(太衝、太谿など)への鍼刺激によって、眼圧が低下し、視神経機能の維持が期待できるとする報告があります。
出典:関ら, 全日本鍼灸学会誌, 2010年 第60巻1号 p.13-21

③ 眼精疲労や目の不快感を緩和

パソコンやスマートフォンの使用過多により、目の奥の重だるさ・疲労・頭痛など眼精疲労の症状に悩む方が増えています。鍼灸では、目の周囲や頭部、首・肩のツボに刺激を与えることで、血流を改善し、自律神経の緊張を緩める作用があるとされ、結果的に目の疲れや不快感をやわらげる効果が期待されます。

日本で行われた眼精疲労に対する臨床研究では、鍼刺激群においてVAS(視覚的評価スケール)や眼精疲労スコアが有意に改善されたと報告されています。
出典:渡邊ら, 全日本鍼灸学会誌, 2017年 第67巻4号 p.221-229

また、目の周囲だけでなく、首・肩・背中など全身の状態を整えることが眼精疲労の根本的な改善につながると考えられています。鍼灸は全身的なアプローチができるため、慢性的な疲労のある方に特に有効です。

鍼灸を始めるタイミングはいつ?

次のような方が鍼灸を取り入れています:

  • 眼科の治療と併用してより良い状態を維持したい
  • 点眼で眼圧は下がっているが、視野の悪化が不安
  • 点眼だけでは眼圧が下がらず、このままだと手術を検討されている方
  • 目の疲れや違和感が気になる
  • ストレスや睡眠不足など全身状態のケアも必要だと感じる

緑内障の初期〜中期の段階で取り入れることで、視神経の機能維持がより期待しやすいです。

緑内障の鍼灸施術の特徴と流れ

緑内障の鍼灸治療

緑内障の鍼灸では、目の周囲だけでなく、首や背中、手足のツボにも鍼を行います。
眼のまわりの血流を促し、眼圧の安定を目指すことで、目の奥の重さや頭痛、見えづらさといった不快感をやわらげます。

特に日本人に多い正常眼圧緑内障では、眼圧が高くないのに視野が狭くなるケースがあり、冷えや血行不良が関係していると考えられています。

鍼灸では目だけでなく、全身の巡りを整えることで視神経への負担を軽減し、進行をゆるやかにすることを目指します。

初回はカウンセリングを行い、体質や症状に応じて施術内容を決定します。
通常は週1回の施術を基本とし、3ヶ月ほど継続して受けていただくことで変化を感じやすくなります。

鍼灸の頻度と注意点

多くの鍼灸院では、以下のようなペースで施術が行われています。

  • 週1回もしくは2週に1回の施術を行います。
  • 眼圧が安定している方は、2週に1回、1か月に1回程度の方もいます。
  • また、自宅でお灸をすることで効果の持続、進行抑制を目指します。
注意点

  • 鍼灸はあくまで補助的なケアであり、点眼薬・手術など眼科の標準治療は必ず継続する必要があります。
  • 鍼灸の効果には個人差があります。
  • 「急に視力が低下した」「強い目の痛みがある」場合は、速やかに眼科へ相談してください。

まとめ|「これ以上悪くしたくない」に寄り添う鍼灸

緑内障は完治が難しい病気ですが、進行を抑えたい・生活の質を保ちたいという方にとって、鍼灸は前向きな選択肢の一つです。できるだけ早い段階で(緑内障初期~中期)で鍼灸を受けることで、視神経の機能維持や進行抑制の可能性が高まります。

鍼灸に期待される主な役割

  • 残っている視神経の保護
  • 疲れや不安の緩和
  • 生活の質(QOL)の向上

眼科での治療と併用して、視界と生活を守るケアとして鍼灸を取り入れてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

医学博士・鍼灸師 箱嶌大昭

医学博士・鍼灸師 箱嶌大昭(はこしま ひろあき)

東洋医学の本場、中国・北京にて日本人初の医学博士を取得後、福岡・天神にて「中国鍼灸院 箱嶌医針堂」を開業。福岡県内をはじめ、九州各県から多くの患者が来院。
肩こり、腰痛など日常的な症状から慢性的な神経痛、自律神経失調症、難病などの鍼灸治療を行っている。

「鍼灸治療は緑内障の眼圧を安定させる効果が期待できますので、ぜひ受けてみてはいかがでしょうか?」
こちらをクリック→「院長の経歴・あいさつ

関連記事