頭位めまい症の鍼灸施術

朝起きてベッドから起き上がろうとしたら、急に天井がグルグル回り出した…。
そんな経験、ありませんか?
「疲れてるのかな?」と思っていたら、なかなか治らない…。
実はそれ、「頭位めまい症」かもしれません。
今回は、頭位めまい症の原因や症状、そして鍼灸でのケア方法についてご紹介します。
頭位めまい症とは
頭位めまい症とは、頭を動かしたときに突然起こる回転性のめまいのことです。
正式には「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」と呼ばれています。

めまいは数秒から1分程度でおさまることが多いですが、何度も繰り返すので不安になりますよね。
頭位めまい症の原因

頭位めまい症の原因は、内耳にある「耳石(じせき)」のズレです。
耳の奥の内耳には、バランスを感知する器官「三半規管」と「耳石器」があります。
耳石器には「耳石」という小さなカルシウムの粒があり、これが身体の傾きや動きを感知しています。
ところが、何らかのきっかけでこの耳石が剥がれて、三半規管に入り込んでしまうと、三半規管が過剰に反応してしまいます。
その結果、実際には動いていないのに脳が「グルグル動いている」と錯覚してめまいが起きるんですね。
耳石がズレるのはどうして?
◆耳石がズレる原因
・加齢による内耳機能低下
・長時間の同じ姿勢(デスクワークやスマホの見過ぎなど)
・ストレスや自律神経の乱れ
・首や肩のコリ、血行不良
・軽い頭部打撲
・ホルモンバランスの変化(更年期や月経前など)
特に30代〜50代の女性は、ホルモンの影響で自律神経が乱れやすく、疲労や冷えによって内耳の血流も低下しやすくなります。
最近は、パソコンやスマホを長時間使う人が増えて、首こり・肩こりからくる血流の悪化が耳のバランス感覚にも影響を与えているとも考えられています。
つまり、日々の生活習慣や体調が、耳石のズレに関係していることが多いのです。
鍼灸施術でのアプローチ
頭位めまい症は、基本的には自然に治ることも多い病気です。ですが、なかなか改善しなかったり、何度も繰り返したりする人もいます。
「病院では自然に治るって言われたけど、不安でつらい…」
「薬を飲んでもよくならない…」
そんなときにオススメなのが、鍼灸による体質改善と症状緩和です。
「耳まわり」や「後頭部」、「首〜肩甲骨まわり」のツボに鍼をすることで、血流がよくなって症状が改善しやすい。と言われています。
施術例
症例 50代 女性
主訴:めまい
症状は、2週間前から。
頭の向きを変えるとふらつくようなめまいが起きる。ずっと乗り物酔いが続いているような感覚。目の奥がギューっとする。病院で、「良性発作性頭位めまい症」と診断された。
症状は、少しずつ緩解しているが、近日、再就職するので早く治したい。ということで来院されました。
5年程前にも、同症状あり。
鍼灸施術の経験あり。
鍼灸施術

この方は、首がガチガチに硬くなっていました。眼鏡を使用されているので眼精疲労もあります。前職でストレスがかなり大きかったのも原因の一つかと考えられます。
頭位めまい症は、自然に症状は緩解していくものですが、首肩周りの凝りが強いと血流が悪く、耳周りの血流も悪くなってしまうので、首肩周りの緊張をとってあげたり、めまいに効くツボに鍼灸施術を行うことで症状を緩和させていきます。
2回程の来院で、めまい症状は緩解されました。
まとめ
頭位めまい症は、耳の中の耳石のズレが原因ですが、首こりや肩こり、自律神経の乱れなども関係しています。
特に働く女性にとって、疲れやストレスが引き金になることも多いのが特徴です。
鍼灸で体のバランスを整えることで、めまいの症状を和らげることができます。
薬を使わず自然な方法で改善したい方、繰り返すめまいにお悩みの方、一度鍼灸を取り入れてみるのもオススメです!
めまいが頻繁に起こると不安な気持ちになりがちです。気になる方は専門家に相談してみましょう。
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この記事を書いた人

鍼灸師 大平洋子 (おおひら ようこ)
中国鍼灸院 箱嶌医針堂にて美容鍼・女性疾患などを主に担当している。
健康になりながら、美しくなっていただけるように鍼灸治療を行っています。
より多くの方に鍼灸の素晴らしさを知って頂きたいと思っています。
鍼灸や美容に関するブログを書いています。